TOP

chaly-automatic
オートマシャリイ




↑CF50AMB(セル付き)
AT搭載車両の分類

オートマチックトランスミッションEg搭載の車両はCF50A、CF50AM、CF70Aの3型があります。形式で言うとシャリイのA型です。CF50AMは起動方式がセルモーター・キック併用式です。

 

 

ATエンジンクラッチ側

↑CF50AM
B(セル付き)


エンジンの概要

純機械式自動変速の恐るべきEgです。3段変速です。
他にもオートチョークの採用により操作の簡便さ追求されています。セル付き車ですと残る特殊な知識はガソリンコックの操作のみと、徹底した自動化が図られています。

オートマチックの構造ですが、発進時と変速時のクラッチ繋断を分けて考える必要があります。手動クラッチや遠心クラッチはクラッチ1つで発進と変速に対応しますが、オートマチックEgはそれぞれが各々のクラッチを持ちます。

簡単に機構をご案内しますと、スクーターの自動遠心クラッチと同様の機構です。回転数が上がる事により遠心力でつながります。これはスクーターと同一の構造の物と考えて良いと思います。
発進用にひとつ、変速用には2組入っています。重量(遠心力)の差で回転数が上がる毎に順番に繋がっていくようです(はっしーがPLを眺めての推測の域を出ないことを書き加えておきます)。
ですので変速時期の変更はスクーターレース経験者や構造に理解のある方には比較的容易だと思われます。具体的に説明しますと、遠心力により繋がるタイミングが変わるので、高回転で変速させたい場合は軽量化すれば良い訳です。穴を開ける位置にはくれぐれも注意して下さい。

スズキの変速システムに同様の機構があったそうです。そのため修理・助言はスズキの現在30代中盤〜40代後半の当時の知識を持つメカニックも良いでしょう。

チョークは前記の通りオートチョークになっています。バイメタル式と言う事ですので、金属が暖まる事によりチョーク経路を塞いだり閉じたりするホンダの現行の方式と大きくは変わらないと思います。そのパイプが増えるためキャブ周りは若干複雑です。

 

 

ATエンジン上から

↑負圧パイプがのたくってます。
ヘッド横の四角い?箱がオートチョークです。


また、セル付き車のセルモーターはフレームとの関係でシリンダー下部についてあります。セル車はあまり数が多くありません。

 

 

ATエンジン左側

ジェネレーターカバー左下の出っ張り部分が
セルモーターです。



対策部品について

オートマチックを少し調べると出てくるのは、対策部品の存在です。

変速装置にリコールが発生したそうですが、リコールならずっと続けないの?と思いますので、改良部品のような性格の部品かもしれません。リコール対策済み車両かどうかはホンダのお客様相談室に問合せをすれば教えてくれます。
ホンダのサイトを見ればリコール専用電話番号も載っています。ただし問い合わせてみましたが近辺の車台番号の車両にはクレームの記録は載っていないと言う事でした。(対策部品PN:23210−GB2−305、品名:メインシャフトワンウエイクラッチ 販売終了)蛇足ながら、ミッションメインシャフト軸の部品ですので交換には腰下の完全分解が必要です。
回収されたとの話も一部にありますが、真っ赤なウソです。しばらく置いておいた車両は発進時に竿立ちになるとか、噂は枚挙に暇がありません。


電装系

全車CDI点火方式になります。
ここで注意が必要なのはCDIといっても6V車だと言う事です。ただしセル車のみ12Vとなります。これはセルモーターの消費電流によるものだと思われます。
セル付きAT車の配線についてですが、少なくともホンダ本社には配線図の資料が残っていません。ですのでセル付きカブ等を参考に配線すると良いかと思います。

12V化はレギュレーションレクチファイアを12V用に変更することで出来ます。もちろん電球やリレーも12V対応のものに変更が必要です。費用は新品で揃えると¥10,000を超えると思われます。
セル付き車を除きジェネレーターから丸ごとの変更も可能です。Egケースの形状が12V型ですので無加工で取付けが可能です。もちろん対応したワイヤハーネスの引き直しが必要です。


オイル交換

オイル交換時の指定量は600ccなのですが、少しオイルを暖めて柔らかくしてドレンから抜いても400cc弱しか抜けませんでした。そんな場合はキックをしてみてください。“ばっしゃ〜”とドレンから吐き出て来ます。30回くらいすると“べはべは”と中のオイルが無くなってきたような音に変わってきます。




実走と高出力化について

実際乗ってみると思いますが、かなり遅いです。
30km/h位で3速に入ってしまい、そこから最高速の55km/h位まではEgの回転数の伸びで速度は伸びて行きます。のんびり走るのには結構ですし、ひとりで走っている分にはそんなに遅さを感じ無いどころか速い錯覚さえするほどですが、50ccモンキーとの競争にも負けました。一部の車の様に音だけ勇ましく速度と連動しないという事も無いのですが遅い事は確かです。
ですので改造したくなるでしょうが、クラッチの容量がそんなに無いのであまりお勧めは出来ません。が・・・。


その1.社外部品対応

このEgは全てコンロッドが長いRクランクです。逆エンド(クラッチ側)の形状は全く異なりますが、部品対応はRクランクと考えることができます。ですので、下はノーマルヘッド流用ボアアップキットから上はDOHC95ccまで装着できます。一般的な12V車用ボアアップキットが使える、と考えてください。


その2.机上論

純正設計でエンジン内部主要部品が同じで72ccまでは対応している事より、純正70ヘッド72cc程度は耐えるでしょう。そして純正設計ですので多少の安全マージンがあると考えれば、もう少し位の馬力アップには耐えると思われます。ですが72ccとは言え希薄燃焼の世代に入っていますので絶対的なパワーは減っていると言う事も考えておく必要があります。
ひとつ怖い話としては純正70でも夏場は油温が120℃を超える場合もあるようです。これは逆に希薄燃焼だから油温が上がり易いと言えるかもしれません。
セル車については、あまり圧縮比が高いキットを組むとセルが回らなくなる可能性があります。そのあたりはカブのセル車の話が参考になると思います。


その3.実走データ

50AMでの経験ですが、発熱量はかなりあります。ですので10馬力を超えようかという腰上はオーバーヒートの可能性が高いです。機械的な耐久性を無視しても88ccは苦しい?と思っていましたが、やはり88ccは厳しいようです。3台ほどの車両が全てボアアップ後1000kmほどでクラッチの破損に至っています。極めて小さい摩擦面の面積で、しかも湿式(オイルに浸かっている)である事を考えると6馬力位までではないでしょうか。



現状での結論

12V70ヘッド(≒90ヘッド)流用80ccやJUN製80ccが良いのではないでしょうか。金額的に考えると純正70cc腰上流用が耐久性と両面でポイント高し。ただし近年の希薄燃焼Egよりも古いタイプのEgのほうが同じ馬力を出す時には発熱量は少ないようです。
個人的には50ヘッド流用のボアアップは構造上あまり乗り気ではありませんが、燃焼室などのヘッドの加工をきちんとすれば良いのでは?とも思います。ヘッド流用キットは圧縮比が高いのですが、スキッシュエリアを作ると下がりますのでレギュラーガソリンでも良くなりますし、セルも回り易くなります。
inserted by FC2 system